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interview

人生という舞台を、彼女は演じる――“中華メイク”の先駆者・穂乃香、逆転の1年



YouTubeチャンネル「鹿の間」で主に美容情報を発信し、開設から1年で約25万の登録者を獲得した穂乃香。今や“中華メイク”の先駆者としてもその名を広めつつあるが、たった1年前までは芽が出ない日々を送っていた。

オーディションに落とされ続けた中高生の頃。夢を追いかけて飛んだ韓国で失意にさらされた20歳の頃。しかし、「なんとかなる」と自分に言い聞かせ、絶対に諦めなかったから今がある。




「わたしってかわいくないんだ」

「マイペースで自己中心的。良くも悪くも」

自分のことをそう話す穂乃香は、優しい父と厳しい母と活発な妹と福岡で4人暮らし(猫のキナコとオハギも)。たまに仕事で東京に来ても、「やっぱり福岡が好き」だと思う。

“中華メイク”の先駆者という文脈で、今その名が広まり始めているけれど、だから当分は福岡にいる予定。



そんな彼女、もともとはアイドルや女優になりたかった。マイリー・サイラスが演じる『ハンナ・モンタナ』の姿に憧れて、人に影響を与えられる何かになろうとしていた。

夢の実現に向けて、中学2年生の時に、人生初のオーディションを経験している。

これは結果的に2次審査で落とされてしまうも、「審査員の見る目がなかった」とマイペースに解釈して、その後もオーディションを受け続けた。

その先に焦がれた世界が広がっていると考えると、やる気が満ち溢れた。



それに自信もあった。もともと超がつくほどのポジティブだった穂乃香は、「言っちゃえば自分のことをかわいいと思ってた」。

でも、いつまでたっても結果が出ない。

「わたしってもしかして...?」という焦りが生まれはじめていた矢先、決定的な出来事が起こる。2次審査までは絶対にいけるという自信があったオーディションで、1次審査すら通過できなかったのだ。

そのとき、確信した。

「わたしってかわいくないんだ」。

上手くいかない、でも立ち止まらない



自信を砕かれた穂乃香は、まずは痩せようと決意する。父親に「60キロって、それおれと同じ体重じゃん」と言われたのがきっかけ。

「いくらなんでもそりゃ落ちるよな」と思い、必死になって痩せようとした。

「鬱っぽくなるぐらい当時はネガティブでした。痩せてもどうせ無理だから普通に働けよって言う悪魔と、痩せたら変われてなんでもできるよって言う天使がずっと頭の上を飛んでる感じ。理想の自分に近づけなくてめちゃくちゃ焦ってて。人生で一番つらかった」



そんな葛藤をへて、なんとか体重を落としたあと、「人前に出る仕事はやっぱり違うかも」と思い直し、服飾の専門学校へ進学。そこでスタイリストや広報など裏方の流儀を学びつつ、しかし、いつか自分のブランドを立ち上げたいと考えていた。

からかはわからないが、縁があり、「ブランドをつくれるから韓国に来ない?」という誘いを受け、二つ返事でゴーサイン。専門学校を卒業後、韓国へ飛ぶ。

のだが、認識の甘さと服飾への知識不足が原因で、結果的にブランドの立ち上げは断念せざるを得ず、わずか半年後に帰国。実家へ戻り、やることもないからバイトに明け暮れる毎日を送ることになる。

転機になったYouTube、世界を知ったハワイの絶景



そんな日々を送るなかで、ふと、「これからはYouTubeだよね」とチャンネルを開設。全くの無計画だったが、これが転機になる。

定期的に投稿を続け(「サボると母親に喝を入れられたから(笑)」)、以前から注目していた“中華メイク”の動画を公開すると、これが大ヒット。ここから勢いに乗って、現在、開設から1年でチャンネル登録者数が25万人に迫るほどに成長した。

またC Channelに所属することになり、福岡と東京を行き来する生活を送っている。



と、こうなってくると当然アンチも増える。穂乃香も誹謗中傷のコメントを目にするたび、人並みに落ち込むという。

落ち込んで、でも、「あほくさ」と即刻ミュートする。

「嫌なものは見なければいいだけじゃないですか。それに世界は広いんだから、自分の悩みなんてちっぽけだってことを、わたしはハワイで知ったんです」



かつて両親に連れられて登った、ハワイのハレアカラ火山。その山頂から見た、星が煌めく夜空。圧巻だった。人生で初めて、心が震える風景に出会った瞬間だった。

「この絶景に比べたら、わたしの悩みなんて本当にちっぽけだな」

世界が広いことを知った、17歳、ハワイの夜だった。

「他人と自分を比較したってしかたない。誰かと自分を比べたくない」



どうしたって他人の目を気にしてしまうこのご時世を、彼女はミュートするというシンプルな方法で突き進んできた。

「他人と自分を比較したってしかたない。誰かと自分を比べたくない。戦いは自分とのものなので」

そう、彼女が戦う相手は自分自身。

気を抜くとサボってしまう性格をわかっているから、自分で自分を追い込むために、将来の目標や動画の投稿日を公言。口にしたからにはそれを達成しなければいけないし、レベルアップしなければいけないと、毎日インプットを怠らない。



「完璧主義者ではないんですけど、言ったからにはやりきらないと恥ずかしいじゃないですか。かっこわるいことはしたくないから」

動画の企画を考えて編集するかたわら、TVやYouTubeで活躍するMCやお笑い芸人を見てトークの参考にする。仕事で東京に来る合間に、実用書や自己啓発本を読む。そんな毎日を送っている。




はたから見れば大変な日々を送っているように思えるが、こうした毎日はいわくゲーム感覚で、『ドラゴンクエスト』のようで楽しいんだとか。

掲げた目標(クエスト)を達成(クリア)していくゲームというわけだ。

あるいは映画の主人公として自分の人生を演じ、紆余曲折を楽しんでいる感覚もあるという。



この感覚は、「両親がわたしと妹を心配して、職場に専用の部屋をつくって、仕事が終わるまでそこで遊ばせていた」という10歳前後に身に着けた。

母が仕事をする隣で、壁に絵を描いて過ごした幼い日の思い出。そのなかで穂乃香は、たびたび妄想に夢中だったという。

ファンタジーの世界に自分を置いて、妖精とたわむれていた当時の感覚が、ゲームや映画の主人公という人生観につながっている。



「わたし、今レベルすごいと思います」

そう言って彼女は笑う。

1年後はどこまで行けてるかな? なんてわくわくする、子どものような笑顔で。

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